ヒキコモリータの生き抜く途

(旧ブログ名 イタリアなのにひきこもり) 

嫁入り道具

私が嫁ぐ際、祖母は私のお嫁入道具を気にかけてくれていた。

 一度目の結婚は、私が一人で住んでいたところに、前夫が転がり込んできた感じなので結婚を機に新調したものは何もなかった。

二度目は、イタリアまで荷物を極力減らしたかったので独身時代から愛用している物だけを持ってきた。

 

祖母は95歳を超えていて、相手がイタリア人でイタリアに行くことだけを心配している様子だった。

今回、嫁ぐ際、高砂人形(尉と姥)を強請って買ってもらった。

実家、両親をはじめ、兄弟や親戚の各家庭には立派な高砂人形がある。

それぞれお結納の際に用意された物。

私以外の家族や親戚は、誰も離婚せず、両親は結婚60年、叔父達も50年、兄弟も25年以上連れ添っている。

 

お能の「高砂」に出てくる、大阪住吉と兵庫相生の松の精がお互いの長寿と夫婦円満を祝う舞」に由来する人形。

熊手で福をかき集める尉(じょう=おじいさん)と箒で邪気を払う姥(うば=おばあさん)のカップルに小さい時から憧れていた。

幼稚園の頃、「お前百まで(掃くまで)わしゃ九十九まで(熊手)」と言って祖父母が私にこの人形の意味を教えてくれた。

離婚をした時に、私の家には高砂がないからだ!と両親に訳の分からない八つ当たりをしたこともある。

そんな訳で、2度目は母が買ってくれた。

足の悪い母が、あちこちのお店を回って自分の気に入る可愛らしい顔、そして、自分自身で持ち帰ることの出来る大きさのものを探してくれた。

人形作家の名前に父の名前が一文字入っていると言って喜んで見せてくれたが、もう一文字が前夫の一文字だったという大ミスもあった。

だけど、彼との結婚・離婚が無ければ、国際結婚などすることがなかったので、彼のおかげだ。自分への戒めのために忘れることはないから大丈夫。と言って母を慰めた。

両親のように感じ、毎日、話しかけたり感謝を伝えている。

 

そして、イタリアに来る時に、祖母から私へのお嫁入道具が渡された。

大量の竹串...母も私も祖母がボケてしまったのか?と心配だった。

祖母は「荷物になる物はいらないでしょ。イタリアには日本よりもいい物が沢山あるし、イタリアの家には何でも揃っているはずだから。」と言った。

私は有難くもらって、大切に持ってきた。

この串たちの威力は凄かった。

ある日の持ち寄り料理に、串カツ100本!

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この串カツをきっかけに、私や日本への関心が高まり、私の参加や一品料理を楽しみにしてくれるようになった。

この串を捨てずに、今でも使ってくれているらしい。

夫が好きな鶏つくねにも大活躍!

イタリアではBBQ用に長い串は売っているが、この絶妙な長さがない。

明治生まれの祖母の先見の明に脱帽している。

Grazie!!! Smile!!!