私の得意技は「人のせい」だった。
と言いたいけど、今もこの得意技を使ってしまう。
この週末、私はぐったりと放心状態だった。
それは・・・
先週、金曜日に義両親の故郷に行く用があり、早朝に家を出発し午後10時には帰宅する予定だった。
土曜日、夫は8時から仕事、6時半には家を出なくてはならないから出来るだけ早く帰ってこよう。と決めていた。
金曜日、6時に家を出発し、予定通り現地に向かう。
叔父、義兄との待ち合わせ時間まで余裕を持って到着することができた。
美しい町を散歩し、夫の思い出話などで盛り上がった。
その後、用を済ませ、みんなに挨拶をして帰ろうとする。
しかし、イタリア人「終わった、帰ろう!」となってからが長い。
まさにITAMINKIAさん通り。
一時間に一本しかない列車に間に合うように、夫をせかす。
しかし、夫はのんびりと「大丈夫、もう一本後の列車でも大丈夫。」と言う。
私はイライラし、「一本遅い列車だと、料金が高くなるし、直通じゃないから帰りが遅くなる。早く帰ろう」と何度も言う。
夫は「あなたのイライラには意味がない」と呑気に言っていた。
案の定、1時間後の列車になり、最寄り駅まで直通列車ではなく、ローマで乗り換えなくてはならない列車に乗った。
私はぶつぶつと文句を言い続けた。
すると、その列車が途中で故障し、30分遅延となった。
ローマでの乗り換え列車に間に合わない。
夫を責め続けた。
「全てあなたのせいだ」
「イタリア人の挨拶が長いせいだ」
「列車が遅れるのはイタリアだからだ」
「何もかも上手くいかないのは私達がイタリアに住んでるせいだ」
もう止まらない・・・。
ローマで鉄道会社手配のホテルで一泊することになった。
同じ列車で乗り継ぎ列車に間に合わなかった他の乗客、10人ほどが鉄道会社カスタマーカウンターで交わしている会話を聞きながら、「これがイタリアなんだ」と痛感した。
誰も会社を責めず、誰も自分の都合を主張せず、静かにこれからどうするのかだけに焦点を当てて言葉を発していた
遅延なんて想定内ということ、乗り継ぎに20分しかない列車を選ぶリスクは自分達の責任だというかように冗談や世間話をしながらお互いを思いやっていた。
全て夫とイタリアのせいにし、夫に食いかかっていた自分を恥じた。
鉄道会社がホテルを手配する時に身分証明書を提出しなければならない。
私だけが外国人で、他の乗客はみなオリジナルイタリア人だった。
私が夫に「どうしてみんなこんなに冷静なの?」と聞いた。
夫はいつものように言った「イタリア人だから」
そして鼻歌を歌う
L'italiano ( l asciatemi cantare ) Toto Cotugno - lyrics
翌日、始発の列車で食事しながら景色を眺め、「どうにかなるものだ」と夫に言う。
夫は「家に着くまで何も言わな~い。まだわからな~い」と笑う。
彼は本当のイタリア人だ。
出発当日、久しぶりに作ったお弁当。
そろそろ今までの得意技を封印しよう!
Grazie!!! Smile!!!